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知っておきたい!誌面の構成要素と設計手順

社内報や広報誌、機関誌などの誌面を魅力的に作るためには誌面設計が必要不可欠です。しかし、そのために必要な要素や実際の流れについては、あまり知られていないことも多いのではないでしょうか。

通常、誌面設計は制作会社やデザイナーによって行われますが、誌面の構成要素や設計手順を理解しておくことで、制作会社とのコミュニケーションがスムーズになり、円滑な進行が可能になります。

この記事では、誌面を構成する基本的な要素と、具体的な設計手順についてご紹介いたします。

誌面の構成要素

まずは、誌面を設計するうえで押さえておきたい、基本的な構成要素をご説明していきます。

誌面の構成要素

版面(はんづら、はんめん)

版面とは、本文や画像、図表などが配置されるレイアウト部分のことを言います。版面は、誌面の読みやすさや美しさを大きく左右する非常に重要な要素であるため、ページのレイアウトを考える際は、まず初めに版面の設計から行うことが多いです。

具体的に版面設計では、「組方向」「級数」「行送り・字送り」「段組み」などを決めていきます。

組方向

文字を読む向きのことを「組方向」と呼びます。日本語の組み方には横組みと縦組みがあり、縦組みでは右綴じ・右開き、横組みでは左綴じ・左開きとなるのが一般的です。

級数

「級」とは、印刷やデザインの現場で主に使用される、文字サイズを表す単位の一つです。1級=0.25mmと定められており、校正においては「Q」と表すこともあります。なお、WordやExcelなどのソフトウェアでは、「ポイント」という単位を用いて文字サイズが表されます。

▼「級」と「ポイント」の違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。

文字の大きさを表す「級」と「ポイント」の違い【知っておきたい編集用語③】

行送り・字送り

「行送り」とは、行の上端から次の行までの長さ、つまり「文字サイズ+行間」のことを指します。歯送りとも呼ばれ、「歯(H)」という単位で表されます。

また、「字送り」とは、文字の中心から次の文字の中心までの長さ、つまり「文字サイズ+字間」のことを指します。字送りも同様に「歯(H)」という単位で表されます。

行送りや字送りは、文章の可読性や全体のバランスに大きく影響を及ぼす重要な要素です。

行送り、行間、字送り、字間

段組み

「段組み」とは、文章や画像、図表などをブロックごとに分割してレイアウトすることです。
段組みを上手に活用することで、長文の場合でも視線の移動が短くなり、誌面の可読性を高めることができます。

マージン

「マージン」とは、ページから版面を除いた、上下左右にある余白部分のことを指します。版面だけでなくマージンも誌面の読みやすさや美しさに大きく影響しています。また、ページの中で版面が占める割合のことを「版面率」と呼び、マージンが狭く版面率が高い誌面は情報量の多さや華やかさを感じさせる一方、マージンが広く版面率が低い誌面は上品さやクールな印象を与えやすくなります。

さらに、マージンは、その位置によってそれぞれ呼び方が異なります。

ノド

本や冊子を開いた際の、綴じ目に沿ったページ内側の余白

小口

本や冊子を開いた際の、断裁されたページ外側の余白

本や冊子を開いた際の、ページ上部の余白

本や冊子を開いた際の、ページ上部の余白

「柱」とは、マージンに配置される、章・節・項などの見出しのことを指します。一般的に、柱はページの上部(天)か下部(地)に配置されることが多いですが、縦組みの場合はページ外側の余白(小口)に配置されることもあります。

また、柱には、奇数ページと偶数ページともに柱が配置されている「両柱」と、片方のページのみに柱が配置されている「片柱」があります。

ノンブル

「ノンブル」とはフランス語で「数」を意味し、冊子制作においてはページ番号のことを指します。ノンブルをどのように設定するかは冊子によって異なりますが、本文が始まるページを1ページ目とするのが一般的です。

誌面の設計手順

1.判型の決定

「判型」とは、A4やB5といった冊子の仕上がりサイズのことを指します。誌面設計において、まずは冊子のサイズを決めるところからスタートします。

2.組方向の決定

日本語の文章は、横組みと縦組みの両方で読むことができますが、横組みは読み手の理解を促したい場合に、縦組みは読み手の感情に訴えたい場合に効果的であるとされています。目的や読者層を考慮して組方向を選びましょう。

3.マージンの決定

版面率

マージンの広さは、冊子の用途やデザインの意図、用紙のサイズなどによって異なりますが、10~20mm程度が目安となります。文字中心の冊子では版面率が60~70%、画像などグラフィックが多い冊子では75~80%程度が一般的です。
また、無線綴じの冊子では、ノド部分が開きにくくなるため、ノド部分のマージンを広く取っておくとよいでしょう。

4.級数の決定

版面とマージンを決定したあとは、本文の文字サイズ(級数)を決めます。目的や読者層によっても異なりますが、書籍や雑誌などにおいては、本文は11~14級が一般的です。

5.字詰めの決定

版面と文字サイズが決まると、1行あたりの文字数を計算することができます。
例えば、12級の文字であれば、版面の長さを12級の文字サイズである3mmで割ることで、1行あたりの字数を計算することができます。

例)版面の長さ90mm ÷ 12級の大きさ(3mm) = 30字

1行あたりの文字数が40字を超えると、視線の移動が大きくなり読みにくくなるため、そのような場合には段組みを活用するようにしましょう。

6.行間の決定

次は行間を決めます。一般的に、行間の目安は文字サイズのおよそ50~100%とされています。1行が長い場合は行間を広く、短い場合は狭くすることで、より読みやすい誌面になるでしょう。文字サイズと行間が決まると、行数も定まってきます。

7.段数・段間の決定

1行あたりの文字数が多くなってしまった場合は、段組みによって文章を分割します。段間が狭すぎると読みにくく、広すぎるとレイアウトが崩れるため、判型に応じて適切な段間を設定しましょう。また、判型に対して段数が少なすぎる場合も、1行1行が長くなり、読みにくさを与えてしまうため、注意が必要です。

段組みの例

まとめ

今回の記事では、誌面を構成する基本的な要素と、設計手順についてご紹介しました。

誌面設計においては、見た目の美しさだけでなく、読みやすさや情報の伝わりやすさが非常に重要です。複雑そうに見える誌面設計ですが、はじめにフォーマットを決めておくことで、その後のレイアウト作業がスムーズに進められるようになります。

広報誌や機関誌、社内報などの冊子では、コーナーごとに変化をつけながら、読者を飽きさせない工夫を凝らした誌面づくりを心がけましょう。

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